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エピゲノム解析遺伝子クローニングシステムを用いた筋骨格組織変性疾患の病態解明とそれに基づいた筋骨格組織由来幹細胞を用いた新規筋骨格組織再生治療法の開発

1.概要

本邦は超高齢化社会に突入しており、加齢に伴う運動機能と生産性の低下は大きな社会問題となっている。加齢に伴う自然修復能の乏しい軟骨・半月・椎間板組織の変性・損傷や、骨量や筋肉量の著しい減少、その他筋骨格組織の広範欠損に対する再生治療にはいまだに多くの課題が残されており、より効果的な新しい機能修復や再生治療の確立が期待されている。

2.目的

本研究の目的は、従来と異なる最新のエピゲノム(DNA塩基配列の異常を伴わない遺伝子発現制御)解析遺伝子クローニングシステム(クロマチン構造を保持したまま特定のゲノム領域に結合するたんぱく質を同定する方法で、過去に筋骨格系統の研究で用いられた報告はない)を用いて筋骨格組織疾患の病態を解明し、その得られた情報を元に従来の臨床治療法では困難であった筋骨格・結合組織病変に対する筋骨格組織由来幹細胞を用いたより効率的な組織再生治療法を確立することである。

3.対象

骨粗鬆症・変形性関節症・変形性脊椎症・関節リウマチ・関節外傷・サルコペニアなどの筋骨格疾患にて外来・入院・手術加療を受け、認可を受けた臨床研究の同意書を所得のうえ血液、関節液、骨格筋、骨、軟骨、滑膜、椎間板、半月板、靭帯、脂肪組織、皮膚組織を採取した16歳以上の約300名の患者が対象である。尚、健常者は対象としない。

4.方法

1)外来採取

骨粗鬆症・変形性関節症・変形性脊椎症・関節リウマチ・関節外傷・サルコペニアなどの筋骨格疾患患者において、組織提供同意書所得に基づき関節液(通常は廃棄する)・血液(通常採血と同時に約10ml余分に)を採取する。血液は全血による解析と、それとは別に血漿と血清に単離し、それらを冷凍保存する。

2)術中採取

手術室において全身麻酔下に手術を行う際に、通常は切除組織として廃棄される余分な骨格筋、骨、軟骨、滑膜、椎間板、半月板、靭帯、脂肪、皮膚組織(各々約2g程度)を細胞採取材料とする。切除された組織に酵素処理を行い、細胞を分離して培養皿で培養し、付着した幹細胞群を大量培養する。得られた幹細胞群は一部冷凍保存し、一部は継代して培養を継続する。これらの細胞を様々なスキャフォールドと培養することにより代用組織となりうるバイオマテリアルの開発を目指す。

年齢・性別・既往症の有無・服薬の有無などの情報に加え、これら組織や細胞の遺伝子から、目的疾患のDNAメチル化変動遺伝子や他の病態関連遺伝子の同定をめざす。同定された遺伝子群を分子標的に設定した薬剤や遺伝子導入等の生物学的修飾による細胞および生体内での影響をin vitroでの細胞培養実験および各疾患(軟骨欠損・靭帯欠損・半月欠損・変形性関節症・関節リウマチ・骨粗鬆症・筋肉欠損・サルコペニア・神経損傷・皮膚欠損等)モデル動物への細胞移植や薬剤投与、遺伝子導入等のin vivo実験を通して評価する。尚、ヒトの全ゲノム配列の解析を行う予定はない。

5.研究実施期間

倫理審査委員会承認後~2024年12月31日まで

6.症例数及び設定根拠

予定症例数: 全体(多施設の場合)
300例
予定症例数の設定根拠: 多施設での多種の組織採取であり、各組織での十分量のデータ構築のため各組織300例は必要と考えられるため。(例数に関しては統計的な根拠はないが、類似実験で行われている比較検討での最小限必要な例数として規定した)。

7.評価項目

目的疾患(変形性関節症・変形性脊椎症・関節リウマチ・骨粗鬆症・サルコペニア等)の患者組織のDNAメチル化変動遺伝子や他の病態関連遺伝子の同定をめざす。同定された遺伝子群を分子標的に設定した薬剤や遺伝子導入等の生物学的修飾による細胞および生体内での影響をin vitroでの細胞培養実験および各疾患(軟骨欠損・靭帯欠損・半月欠損・変形性関節症・変形性脊椎症・関節リウマチ・骨粗鬆症・筋肉欠損・皮膚欠損・神経損傷等)モデル動物への細胞移植や薬剤投与、遺伝子導入等のin vivo実験を通して評価する。

8.統計学的事項

目的疾患患者の遺伝子発現に関して、比較対象別に、頻度分布・基礎統計量(平均値、中央値、最小値、最大値)を求める。関節外傷患者や骨粗鬆症患者をコントロール群として、変形性関節症患者、変形性脊椎症、関節リウマチ患者ら関節症性疾患と比較して有意な差を認めるDNAメチル化変動遺伝子を同定する。

9.記録の収集および管理

臨床試験に係る文書及び記録等は、研究事務局が収集・管理を行う。臨床試験を中止又は終了し総括報告を書提出した日から少なくとも5年間保存する。本実施計画書及び症例報告書は変更・修正があった場合はその履歴を適切に保存する。

10.倫理的事項

本研究に関与するすべての者は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従って、本研究を実施する。

10.1 インフォームド・コンセント

本研究実施に先立ち、担当医師は倫理審査委員会の承認が得られた説明文書を対象患者に渡し、下記事項を説明したうえで、本研究の参加について自由意思による同意を文書で得る。

10.2 個人情報の保護

研究に関するデータを取り扱う際は、患者の個人情報保護に最大限の努力を払う。例報告書を作成する際には、個人を識別する情報の全部または一部を取り除き匿名化を行う。対応表は、各施設の個人情報管理者が、施錠された書庫にて厳重に保管する。本研究で得られたデータを当該医療機関外へ提供する際には、対応表は提供せず、匿名化されたデータのみを提供する。学会や論文等で研究成果を発表する場合も、個人を特定できる情報を明らかにすることは決して行なわない。また、本研究によって得られた個人情報は、将来的に他の研究に2次利用される可能性がある。

11.研究組織

11.1 研究代表者

大阪大学大学院医学系研究科
運動器再生医学共同研究講座 蛯名 耕介
〒565-0871 吹田市山田丘2-2
TEL:06-6879-3552 FAX:06-6879-3559

11.2 研究事務局

大阪大学大学院医学系研究科 整形外科
事務局責任者 蛯名 耕介
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
TEL:06-6879-3552 FAX:06-6879-3559

11.3 実施医療機関及び研究責任者

  • 行岡 正雄 : 行岡病院院長・整形外科医師
  • 澁谷 亮一 : 北大阪ほうせんか病院・整形外科主任部長
  • 椚座 康夫 : 星ヶ丘医療センター・整形外科部長
  • 橋本 淳 : 大阪南医療センター・免疫疾患センター部長

11.4 登録センターの名称、責任者、所在地

大阪大学大学院医学系研究科 運動器再生医学共同研究講座
責任者 : 蛯名 耕介
所在地 : 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
TEL:06-6879-3552 FAX:06-6879-3559