1.研究の対象 | 臼蓋形成不全を認める患者あるいは骨盤骨切り術後の患者さんで、末期変形性股関節症による疼痛と歩行困難を認め、当院で2010年1月以降に人工股関節全置換術を施行された患者さんが対象です。 |
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2.研究目的・方法 | 股関節の形態異常は様々な原因で起こります。例えば、臼蓋形成不全がその一つです。臼蓋形成不全とは、股関節において、骨盤側の大腿骨頭が入るくぼみ(臼蓋)による大腿骨頭のかぶりが小さく、股関節が不安定な状態のことを指します。本邦で多くみられます。大腿骨頭へのかぶりが小さいことで、不安定性が生じることで、変形性股関節症をきたしていく場合があります。臼蓋形成不全は、かぶりの程度から4つに分類されています。臼蓋形成不全の程度が重度の場合、大腿骨頭が臼蓋からはずれ(脱臼)、臼蓋の形態が通常と異なってきます。臼蓋形成不全のない骨盤と比較して、骨盤の形態が通常と異なりますので、骨盤内血管の走行が異なる可能性があります。 骨盤形態が人為的に変化する場合もあります。骨盤骨切り術は、臼蓋形成不全を有する患者に対して施行される手術の一つです。大腿骨頭への骨盤側のかぶりを大きくすることで、股関節痛を改善し、また将来起こりうる可能性の高い変形性股関節症への進行を予防する目的があります。骨盤骨切り術の手術方法には様々な方法があるが、骨盤内の血管など、骨盤内の組織が移動し、骨盤内の解剖が変化している可能性があります。 臼蓋形成不全や骨盤骨切り術後で、将来末期変形性股関節症となり、人工股関節全置換術を施行する場合には、通常の骨盤と比べて、骨盤内血管の走行が異なる可能性あり、骨盤側にインプラントやスクリューなどを挿入するなどの手術操作時に、血管損傷や神経損傷を引き起こす可能性が考えられます。今までに、骨盤形態異常を認める骨盤で、骨盤内の血管走行がどのように変化するかどうか、調査した報告はありません。 本研究の目的は、術前計画として撮影した股関節Computed-tomography (CT)検査を用いて、臼蓋形成不全あるいは骨盤骨切り術後で末期変形性股関節症となった患者さんの血管を含めた組織の解剖の変化について調査することです。 方法は、臼蓋形成不全症あるいは骨盤骨切り術後で、その後に末期変形性股関節症により、疼痛と歩行困難を認め、当院で人工股関節置換術を施行する患者さんが対象です。人工股関節全置換術の術前に施行する股関節CT検査は、患者さん本人に同意の上撮影します。そのCTデータおよび、患者診療記録から年齢・性別・身長・体重を取得します。CTデータを用いて、画像解析ソフトを利用して、患者さんの血管を含めた組織の解剖を調査します。 研究期間は2025年12月31日までを予定としております。 |
3.研究に用いる試料・情報の種類 | 今回の試験について、ご承諾いただいた場合、患者さんの結果をデータとして利用させて頂きます。その際に用いるデータは診療記録や既往歴など、レントゲン検査、骨密度検査、CT検査、骨密度検査、血液検査、患者記入式アンケート結果等です。データを取りまとめるために関係者が見ることはありますが、その場合もプライバシーは守られます。 |
4.研究組織 | この調査は大阪大学医学部附属病院整形外科で実施します。 |
5.お問い合わせ先 | 本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。 ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。 また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。「形態異常の股関節を有する患者の骨盤内血管走行の調査」事務局 研究責任者:菅野 伸彦 〒565-0871 |