皆様はスポーツドクターと聞けば、どんな姿を思い浮かべるでしょうか?スポーツ外傷の治療や、スポーツ選手のコンディショニングなど、様々な形でスポーツ選手・愛好家をサポートするのがスポーツドクターです。スポーツドクターはどの科の医師であってもなれますが、実際にスポーツ傷害の治療を行う点から、その多くが整形外科医であり、なかでも女性スポーツ整形外科医は稀少で重宝されます。私は2019年ユニバーシアードのサッカー日本女子代表にチームドクターとして帯同し、現在もスポーツ現場での活動を行なっています。
もともと小学生からサッカーボールを追いかけていた私は、スポーツ整形外科を専攻したいという一心で医学部を受験しました。大学では女子サッカー部と弓道部を掛け持ちし、平成23年に佐賀大学を卒業しました。その後は阪大系列ではない病院で初期研修医として2年間を過ごし、平成25年に大阪大学整形外科に入局しました。入局先に関しては色々と悩んだ結果、大阪大学が膝スポーツ傷害治療の先駆者ということ、400床以上の関連病院が多く、またそれらのほとんどが大阪府内にあるという点から、大阪大学を選ばせていただきました。
整形外科医として研鑽する傍らで、スポーツ現場での仕事をしたいと公言していたところ、多くの先生からセミナーや勉強会をご案内いただきました。その縁で大阪府サッカー協会へ入会し、スポーツ現場での経験を積んでおりました。そんな中、ある日突然に日本サッカー協会より、ユニバーシアード女子代表のチームドクターの依頼が舞い込んできました。ユニバーシアードとは「大学生のオリンピック」とも称される世界大会であり、様々な競技が一堂に会して開催されます。大会本番の約3週間の帯同に加えて、国内でも2-3ヶ月おきに約1週間のキャンプが行われます。その全てに帯同するためには、周囲のサポートが不可欠です。幸いにも、整形外科の教授や、私が大学院生として所属していたスポーツ医学教室の教授にご快諾いただき、チームドクターとして帯同することができました。大会では女子代表チームは準優勝の成績を納め、選手たちの活躍を側で見守ることができて感無量の思いでした。帯同の務めを果たすことができたのも、今までのご指導ご鞭撻に加えて、帯同にご理解・ご協力いただいた先生方のおかげだと感謝しております。
今やオリンピック日本代表選手の半分は女性ですが、スポーツ現場で活動している女性スポーツ整形外科医は稀少な存在です。そのために現場では重宝されるのですが、整形外科の他分野においても、担当医師が女性であることを喜んでくれる患者さんがたくさんおられ、その度に女性整形外科医の需要の高さを実感します。女性は出産・育児等のライフイベントによって、長期休暇を余儀なくされる場面が男性医師よりも多いですが、大阪大学整形外科では妊娠・育児中の女性医師が働きやすいように、サポートをしてくれます。些細なことですが、私が妊娠中には、その時の仕事量が負担になっていないかお気遣いいただき、また日常業務で重い物を持たないように(術後の患者さんのベッド移乗など)、常にご配慮いただきました。おかげさまで、無事に第一子を出産して仕事に復帰し、妊娠・出産で遠ざかっていたスポーツ現場での仕事にも、少しずつ復帰しております。他大学と比較して、大阪大学整形外科に女性医師が多いのも、こういった配慮があるからではないでしょうか。
大阪大学整形外科の人材は豊富で、整形外科の各分野において臨床や研究で業績をあげておられる先生方のもと、存分に研修できる環境が整っています。スポーツ整形においても、テニスやアメリカンフットボールなど、多種の競技に携わる先生方がおられ、私もいろんな現場で経験を積ませていただいています。こういった点においても、大阪大学整形外科は非常に魅力的だと思います。整形外科やスポーツ医学に興味のある研修医の先生方・学生さん、是非一度、大阪大学整形外科を訪ねてみてください。出身大学や性別・年齢に関わらずに活躍できる医局です。一緒に働ける日を心待ちにしております。